双極バラエティ

こんにちは。双極性障害Ⅱ型の33歳男が日常をくだらないテイストで綴っていくブログです。

悲しみのイラン情勢

どうもほうふつです。


あまり政治的なことを書くのには気が引ける面もあるのですが、イランには留学し、好きな国で個人的には思い入れが強いので、ちょこっと触れてみたいと思います。



まず、ウクライナの航空機を誤ってイラン軍が撃ち落としたことについて。


これは、完全にイラン政府の罪だと思います。




最近アメリカからの武力的圧力が高まって防衛意識が強くなっていたという側面もあるかもしれませんが、このことは免罪符にはなりえないと僕は考えています。


そもそも、視認による観察なんかで旅客機をイランへの侵略を意図した航空機だとみなしてしまった点。これにはイランの防衛システムの欠陥が反映されていると思われます。


軍用機なのか旅客機なのかを即時に精査する能力すらイラン軍には存在しなかった。このことは、絶対に許されるべき落ち度ではありません。



また、イラン国内のエマーム・ホメイニー空港から飛び立った航空機を他国から来た侵略機と誤認したことは、肯定しようがない深刻なミスではないでしょうか。


アメリカとイランの緊張状態が高まっていることを踏まえても、実に愚かな、そして取り返しのつかない失敗だと見なさざるを得ません。




イランの軍事指導者ソレイマニの殺害によってイラン国民の間で反米ムードが高まっている中でこのような事件が起きてしまったことは、国民の政府への不信感を激しく逆なでする結果を生み出しました。


今回の事件で1番多くの死者が出たのはイラン市民です。ソレイマニ殺害に対する報復を求めるイラン国民にも、自分たちが強く肯定してきた自国政府の取り返しのつかない失態を批判する立場に変わらざるを得ない人たちが多くいることでしょう。









僕はイランに留学している間、多くのイラン人の優しさに触れ合っていました。


当然国民全員が善良な性格を持っている訳ではないのですが、少なくとも僕が関わってきた限りでは、対人的なコミュニケーションにおいて温かい気持ちを持って接してくれる人々が多くいました。

イラン人たち自身も、多くがその人情味ある国民性に誇りを持っています。



しかし、今回の航空機撃墜事件で、きっと多くの国民がその誇りを傷つけられたことでしょう。


対外的に、イランは罪のない人々が乗っている民間機を攻撃し、ある種の無差別殺人を行うような国だとみなされてしまうことに対し、悔しさや憤りを感じる国民は多くいるはずです。 



イランは事実上ハメネイ師というシーア派最高指導者が国を牛耳る独裁国家ですが、少なくとも今日においては思想の自由を持つことが他の独裁国家(例えば北朝鮮など)と比較するとある程度は可能な国です。


مرگ بر آمریکا
アメリカに死を)


と大声で唱える過激的な群衆の映像がマスメディアではよく流されますが、


アメリカという国は嫌いだけどアメリカ人が嫌いな訳ではない」


という思想を持つ国民も実際にはたくさんいます。




イラン人がアメリカ政府を嫌う理由は様々ですが、アメリカが自分たちは事実上世界中の内戦に武力的な干渉をしていることを棚に上げ、イランの対外干渉を一方的に非難することは平等ではないという意識を持つ国民はかなり多いと思います。


イランも武力干渉をイラクなどで行っているという指摘については否定することはできないのですが、

少なくともアメリカだけそのようなことをしても許されるような風潮があることはフェアではないという趣旨の国民感情は広く根付いています。






僕としては、イランやアメリカの政府同士の対立関係よりも、イラン人たちの気持ちがどうなっていくのかが気になります。


アメリカにもイラン人はたくさん住んでいますが、今回の航空機撃墜や二国間の緊張といった深刻な場面を迎え、在米イラン人達への精神的な圧力が高まってしまうのではないかということも危惧しています。





俯瞰的に見ると、国外へのシーア派軍事組織に対する武力援助など、イラン政府が「人殺し」であることは否定できません。


ただし、その、およそ7000万人にものぼる国民の多くは平和を望んでいます。





イスラーム教の啓典であるコーランには、人殺しを肯定する記述はありません。





敬虔なイスラーム教徒の多いイラン。



にもかかわらず、最高指導者を始めとする国家トップの人たちがコーランの教えを都合の良いように解釈し、戦争を裏で操作する現状は絶対に間違っていると思うのですが、


この状況を解決するのは非常に困難です。


アメリカ対イランに関わらず、この世界において一度始めてしまった戦争というのは、収束させるのが絶望的に難しいものだからです。




僕は思い入れにより、イラン国民寄りの考え方がどうしても強いのですが、


やはり、両国国民のためにも、これ以上アメリカ対イランの構図が激化しないことを望んでいます。


以上です!