双極バラエティ

こんにちは。双極性障害Ⅱ型の33歳男が日常をくだらないテイストで綴っていくブログです。

うろ覚え白雪姫

白雪姫は、姫であった。


肌が白いから白雪姫という、現代で言えば極めて人種差別的な観点からその呼称がついたのであるが、当時ディズニーはそこまで考えてなかったので原作のまま白雪姫というタイトルでアニメを打ち出したのである。



メタ話はこれくらいにして、とにかく白雪姫は、姫であった。


姫だったがなんやかんや親の都合で城を追放され、小人と一緒に毎日を過ごす暮らしをしていた。



白雪姫は、そんじょそこらの姫とは一線を画し、自らの不況に文句を垂れることなく、森で豪勢な生活をすることもなく半年程生きていた。


しかし、流石に食べ物には不満があった。


小人たちが与えてくれる食料は森でとれるナッツや川魚ばかりで、小さなころから満漢全席のごときディナーに慣れていた少女は、小人たちには遠慮して切り出せないものの少しでいいからまともなブツを食べたいという欲求にいつも耐えていたのであった。



で、なんやかんやである日、森に魔女みたいなおばさんが来た。



魔女氏「お嬢さん、いつも小汚い小人によってつき出される貧相な食事ばかりしてさぞご不満でしょう。そんなあなたに朗報です。私が長野かなにかで採れた、合成着色料無しの真っ赤な最高級のリンゴをお持ちしました。お一ついかがでしょうか。」


白雪「そいつはありがたいですわ。でもこちら、一銭も持たず城を追い出された身。唯一金目のものであるこの最高級ドレスも一着しかなく洗い替えがなくて、しかも森で過ごすうちに木とかに引っかかって軽くズタボロになっており、セカンドストリートでも買い取ってもらえないような汚らしい格好に成り果てております。そんな私が名産品のリンゴを買うなんて、とても無理な話です。」


魔女氏「そんなあなたにチャンスです。この1個希望小売価格20000円のリンゴ、今なら特別にお試しサンプルとして無料で提供しております。いかがでしょうか。」


白雪「そいつは良いや!」



白雪姫は、嬉々としてリンゴを受け取った。




その晩、そのリンゴを野犬のごとく貪り食ってからものすごい腹痛が起き、白雪姫は食あたりを疑ったが特になんの医療も受けずにそのまま放置していたところ、やがて意識を失った。


小人たちはその時、近くの広場でのんきに歌を歌って違法な自家製ワインで乾杯、大宴会を開いていたが、家に帰ってみると白雪姫が仮死状態になっていたので少し酔いがさめた。



小人A「これヤバくない?」



しかし、自給自足で生きるしか能がない彼らにできる処置は何も無く、ただただ呆然とし、とりあえずもう一口酒を飲んで現実逃避を始めたところに、この雑草だらけの一切手入れされていない森には似つかわしくないサラブレッドな白馬に乗った男が現れた。


彼は、どっかの王子だった。



王子「そのお嬢さん、私がキスしたら回復しますよ。」


小人「いや、流石にそれは僕らをなめてません?僕らに学がないからといって突然現れた見知らぬ若者がキスしたら復活するなんて言うとかあんた、詐欺師にも程があるだろ。よしんばそれが本当だったとしても、白雪姫の唇は正直僕らも狙ってたところあるんで。それが原因で仲間内で殴り合いしたこともあるんでね。そんなもんさせる訳にはいきませんよ。絶対。」



王子は金品をちらつかせて一瞬で小人たちを買収した後、家に入って白雪姫に一方的なキスをした。




白雪姫は、復活した。




白雪「ああ、あなたは一体?」


王子「王子ですよ。」


白雪「いや、こんな汚い森の中にそんな身分の高い人が来るわけないっしょ。そもそも人のファーストキス奪っといて何の釈明もないなんてあんた、人格を疑うわ。」


白雪「それとも何か、王子だと証明できる書類などがあるんですかね。ないでしょう?私はもう変なカッコした初老の女に毒盛られた時点で相当な人間不信に陥ってっからね。そう簡単には信じんよ。」



王子は、自身の通帳の預金残高を提示した。



白雪「一生お伴しますわ。」






そうして森を離れた白雪姫は、王子の妃として城にとつぎ、酒池肉林の一生を全うしたとさ。






白雪姫〜完〜