先月(2017年9月25日)、NHKの「クローズアップ現代+」という番組において、「障害者と恋とセックスと」というタイトルで、障害者の恋や性についての特集がありました。
詳しくはこちらのNHKのページに書いてあるのですが、ごく簡単に要約すると、その番組は
「障害者だって人を好きになる。恋をする。性行為や自慰行為をしたいと思うことがある。障害者がそういう気持ちを持つことは事実上タブー視されているけれど、一人の人間として、そういう当たり前の気持ちがあるんだ」
ということを視聴者に投げかける内容のものでした。
実は今回の当ブログ記事で私が書きたいことは、上記の「障害者と性の問題」というテーマから外れるのですが、これはこれで非常に興味深い内容でした。
例えば、身体障害を抱え自力で体を動かすことが困難なカップルが、キスなどの行為をするためにまわりの人の手を借りないといけない、など、正直言って私が考えたこともなかったようなことがこの世の中ではふつうに起きている。そういった「現実」がいくつも散りばめられたような番組内容で、普段テレビという媒体を少し軽視している私ですら、少なからず関心をかきたてられましたし、NHKの本気を感じました。
本来こんなことわざわざ言うのはサムいんですけど、当ブログは双極性障害である筆者が「俺は精神障害者だけど、不謹慎スレスレなおふざけもするぜ。タブーとか障害者に求められること? 知らんわそんなもん、かかってこいや!」という思いで記事を書いている部分もあり、なんとなくですが、その番組で言われていたことに共通するものを感じました。
そして、ここからが今回の当ブログ記事の焦点です。
その番組の中で、熊篠慶彦さんという、「NPO法人ノアール」という団体の理事長をされている方が、ご自宅のデスクでパソコンでなにかをしているシーンがありました。
(「NPO法人ノアール」は身体障害者のセクシャリティに関する支援をしている団体だそうです。詳しくはこちらをご覧ください。)
熊篠さん自身、脳性まひを患い、番組中では車いすで移動をしていた身体障害者の方です。
わずか数秒ほどのシーンでしたが、熊篠さんはパソコンに向かいながら、薄暗い部屋で紙巻タバコをバリバリに吸っていました。
そのわずか数秒の間に、私は色々なことを考えました。
まず、そのシーンを見た私がまず最初に思ったのは、「あんた、よくやった!」でした。
彼がタバコを吸っているシーンは、「障害者は、清廉潔白なイメージを保ち生活すべきだ」という多くの人々が無意識に抱く通念に対する、アンチテーゼそのものだと思いました。
何を隠そう、当ブログ筆者の私自身喫煙者でありまして。
そもそもタバコというものを禁止すべきじゃないか、という議論はあると思うんですけど、それについては今回は触れません。今のところは日本では20歳になったら基本誰でも吸っていい訳じゃないですか。なんで障害者が、イメージ気にしてタバコ吸うのを我慢せなならんの?と思いますよね、当然。
そして、次に思ったことは、「ほぼ確実に、わざと喫煙してるシーンを流したな」ということです。
ふつう、テレビの取材が自宅に来てるときにタバコ、吸わないですよね。それをやったということは、「あえてした」ということになると思うのですよ。
多分この熊篠さんという方は障害者の性の問題のみならず、「障害者に求められるイメージ」そのものをぶっ壊したい方なんだな、というふうに私は解釈しました。
そして、そのシーンを撮影し、放送したNHKの人たちもその意向を尊重したことになると思いました。
で、最後に私が考えたのは、「俺は今、偏見を持って彼を見た」ということでした。
これ正直、この文章を読んで下さる方にうまく伝わるかどうか分からないんですよね。でも今回の記事で一番言いたいことなんです。
どういうことかというと、
上記で述べてきたことに気付いたこと自体が、自分には障害者に対する偏見があったという証明になるんです。
だって、テレビで健常者がタバコ吸ってるの見て、何か感じます?
禁煙主義的な人くらいですよね、テレビで人がタバコ吸ってるの見て何か感じるのって。
私は、障害者がたばこを吸ってたからこそそのシーンに着目した訳じゃないですか。
これ、定義にもよるかもしれませんが、私の無意識の差別じゃないかなと。私は差別だと思いますね。
はっきり言って、私も障害者といえる存在なんですよね。精神障害者保健福祉手帳を取ったのは最近なんですが、双極性障害発症してから10年くらいはまあ、障害者サイドと言えるんですよ。そして、自分もタバコ吸ってるんですよ。
そんな私ですら、世間の障害者に対するイメージというものにとらわれているのです。
なんというか、結論的なものは今回ないんですけど、ていうか出せないんですけど。
闇が深すぎませんか?この問題。
特に持論を展開をすることもなく、今回の記事はこれでおしまいです。読んで下さりありがとうございました。